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J. アルバート, J. ベネット『メジャーリーグの数理科学』

      2014/08/17

 

 

球場には様々な楽しみ方をする人達がいる。

外野スタンドで熱狂的に応援する応援団、ビールをあおるサラリーマン、目を輝かせた少年。

ここらへんが大多数であろうか。

たまには野球の「数字」を楽しんでみてはどうだろう?

 

本書「メジャーリーグの数理科学」はその入門書としてぴったりである。

 

長打力と出塁力はどちらがより評価されるべきであろうか?

初回ノーアウト1塁で送りバントをすることは良いのだろうか?

調子の波というものは本当にあるのだろうか?

 

これらは野球ファンの日常的疑問であるが、多くの人は答えを持っていない。

そこに本書は「統計」という切り口で解を導こうとする。(答えは読んでからのお楽しみである。)

 

そもそも野球と統計は相性が良い。

スコアボードには多くの場合、

・打率、すなわち打数あたりにヒットを打つ「確率」

・HR数、すなわち今シーズンのHR「総数」

・防御率、すなわち投手が9イニング投げた時に何点取られるかという「正規化された期待値」

が表示されている。

どんな野球ファンも無意識下で、これら統計量を駆使して、選手能力やシーズン予測をしているのである。

ただ、一般的野球ファンがするそれは定性的であるが、本書で学ぶのは定量的に判断する力である。

 

著者のリードのもと、仮設を立て、分析し、実際のデータと照らし合わせ、一歩一歩、感覚の世界が、理性の世界へと変わっていく快感。そして、今まで遠い世界にあった統計という存在が、個人の身近な手段であるということにも、気づかされる、そんな名著である。

 

©りょーさん

 

 - さかい

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