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リンダ・グラットン『ワーク・シフト』

      2014/08/16

 

 

未来の働き方の「3つの変化」をメインテーマに書かれた本。経営学組織論の専門家で、ロンドン・ビジネススクールで教鞭をとるリンダ・グラットン教授の著書である。英題は“The Shift — The Future of Work is Already Here”。2012年8月、プレジデント社による翻訳出版。

構成は以下のようになっている。

  • 未来の働き方の変化の5つの要因について
  • 未来における暗い働き方と明るい働き方について
  • 未来の働き方の「3つの変化」について

前の二項目はストーリー調で平易に述べられ、最後の部分では働き方のシフトとその展望について詳述が為されている。

未来の働きかたの変化の5つの要因とは、「テクノロジーの変化」「グローバル化の進展」「人口構造の変化と長寿化」「社会の変化」「エネルギー・環境問題の深刻化」だ。これら5つの要因をうまく味方につけることができれば、「明るい未来」が訪れ、悪い面が大きくなると「暗い未来」を招いてしまう。

「明るい未来」を目指すにはどうすれば良いだろうか。著者はその方策として、次のように働き方を変えれば良いのではないかと考える。

第1のシフト(知的資本)  :「ゼネラリスト」から「連続スペシャリスト」へ

第2のシフト(人間関係資本):「孤独な競争」から「協力して起こすイノベーション」へ

第3のシフト(情緒的資本) :「大量消費」から「経験や幸せ」へ

本書は類型のテーマを扱った書籍の中でも特によくまとまっている。400ページという分厚さが、ストーリー調のものや、項目別の説明などの効果か、なかなかどうして読みやすい。第1のシフトでは、日経BP社の『機械との競争』にも通じる点が見られ、これからは浅い知識ではなく、高度で希少な専門技能が必要とされるようになるであろうことが強調される。ゼネラリストなのかスペシャリストなのかといった議論があるが、本書ではスペシャリスト、特に次々と自分の専門を変えてゆく「連続的スペシャリスト」が提唱される。この「連続的スペシャリスト」という考え方が本書ならではの特徴の1つだと言えるだろう。第2のシフトや第3のシフトといった内容は他の書籍でも多く述べられているものの、近年の「協働」といった概念や、クレイトン・クリステンセン氏の『イノベーション・オブ・ライフ』に見られるような考え方も取り入れられており、一読の価値がある。

少し厳し目に書いてしまったが、自分の現在・将来の働き方に何らかの示唆を与えるであろう一冊だ。本書とともに未来を見据え、自分の「働き方」を考えてみてはいかがだろうか。

 

©K

 

 - K

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